返礼品が届くと、ちょっと嬉しいふるさと納税。全国の特産品を楽しめる魅力的な制度ですが、実は私たちが暮らす多摩地域の自治体にとって、深刻な財源流出の原因にもなっていることをご存じでしょうか。
三鷹市では、令和8年度に約18億円もの住民税が他自治体に流出する見込みとなっています。この金額は、三鷹市だけの話ではありません。多摩地域の多くの自治体が同じ課題を抱えており、私たちの暮らしに関わる行政サービスに影響が出始めています。
今回は、広報みたか(令和8年4月19日号)の特集をもとに、ふるさと納税の仕組みと多摩地域への影響について、わかりやすくお伝えします。
ふるさと納税の仕組みをおさらい
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付を行い、寄付金の使い道を指定できる制度です。寄付額のうち自己負担2,000円を除いた金額が、所得税と住民税から控除されます。さらに、寄付額に応じて返礼品も受け取れるのが人気の理由です。
しかし、住民税の控除は「今住んでいる自治体」の税収から差し引かれます。つまり、多摩地域に住む方がふるさと納税をすると、お住まいの市区町村の財源が減ってしまうのです。
三鷹市の場合:18億円の流出が意味すること
三鷹市ではふるさと納税による住民税の減収が年々拡大しています。
| 年度 | 流出額 |
|---|---|
| 令和3年度 | 約8億2千万円 |
| 令和4年度 | 約11億1千万円 |
| 令和5年度 | 約12億9千万円 |
| 令和6年度 | 約14億4千万円 |
| 令和7年度 | 約17億円 |
| 令和8年度(見込み) | 約18億円 |
わずか5年で約2.2倍に膨らむ見込みです。
この18億円を行政サービスに換算すると、どれほどのインパクトかイメージできます。
🏫 市立保育園の年間運営費 約20園分
🗑️ ごみの年間処理経費 約13万3,000人分(三鷹市の人口は約19万人)
🍽️ 市立小学校の学校給食 約2年分(児童数12,872人)
🌳 公園の維持管理費 約7年分
公園の遊具、学校の設備、通院の送迎サービス、避難場所の整備……こうした身近な行政サービスの財源が、ふるさと納税によって失われている可能性があるのです。

多摩地域全体でも同じ問題が起きている
三鷹市のケースは決して例外ではありません。多摩地域の自治体はいずれも住宅地が多く、住民税が主要な財源です。ふるさと納税による税収減は、道路の補修や子育て支援、高齢者福祉など、私たちの日常生活に直結するサービスに影響を及ぼしかねません。
ふるさと納税をする前に、「自分のまちにはどんな影響があるのだろう?」と一度立ち止まって考えてみることが大切です。お住まいの自治体の広報誌やホームページでも、ふるさと納税の影響について情報を公開しているところが増えていますので、ぜひチェックしてみてください。
「ワンストップ特例制度」にも注意が必要
ふるさと納税で多くの方が利用している「ワンストップ特例制度」。確定申告なしで税控除が受けられる便利な制度ですが、実は落とし穴があります。
通常の確定申告では、控除は「所得税(国税)」と「住民税(地方税)」の両方から行われます。しかし、ワンストップ特例制度を使うと、本来は所得税から控除されるべき分もすべて住民税から控除されるため、お住まいの自治体への影響がさらに大きくなってしまいます。
スマートフォンからe-Tax(電子申告)を使えば、確定申告も簡単に行うことができます。手間はかかりますが、地域への影響を少しでも軽減するために、確定申告の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
自分のまちにも「ふるさと納税」できる!
意外と知られていませんが、自分が住んでいる自治体にもふるさと納税をすることができます。返礼品を受け取ることはできませんが、寄付金の使い道を選んで市の取り組みを直接応援でき、税金の控除も受けられます。
三鷹市では、寄付金の使い道として8つの分野が用意されています。
1.子ども・子育て支援の充実 — 地域全体で子どもの成長を見守るまちへ
2.学校教育の充実 — 地域と学校の協働で豊かな学びを
3.福祉事業の推進 — 一人ひとりが安心して暮らせる健康福祉のまちへ
4.都市の整備・自然環境の保全 — 災害に強く、安全安心で潤いのあるまちへ
5.平和事業の推進 — 平和と人権の大切さを次の世代に
6.環境にやさしい活動支援 — 持続可能な高環境のまちへ
7.三鷹市大学応援寄付金 — 地域の「知」の拠点を応援
8.三鷹跨線人道橋跡ポケットスペースに関する事業 — 記録と記憶を未来へ
お住まいの自治体でも同様の仕組みがあるかもしれません。「推し活」感覚で、自分のまちの好きな取り組みを応援するのも、ふるさと納税の素敵な使い方ですね。

「選ばれるまち」を目指す取り組み
一方で三鷹市は、市外の方にも三鷹を応援してもらえるよう、返礼品の充実にも力を入れています。
車両メンテナンス体験や三鷹キウイワインなど、地域の資源を活かした体験型・商品型の返礼品を拡充中です。受け身にならず、市外の方からの応援も積極的に呼び込んでいます。
「ふるさと」は、今暮らしているまちにもある
三鷹市長・河村孝さんは市長コラムで、こう語っています。
「ふるさと」とは、一体どこを指すのでしょうか。少なくとも、返礼品のカタログだけで選ぶものではないはずです。
生まれ育った土地や思い入れのある地域を大切にしながら、今暮らしている三鷹も「ふるさと」と感じていただきたいです。
「ふるさと」は、その人の営みの中で創られていくものだと思います。
多摩地域で暮らす私たちにとって、今住んでいるまちも大切な「ふるさと」です。ふるさと納税をする際には、返礼品の魅力だけでなく、自分のまちの未来への影響も考えてみませんか。
出典:広報みたか 令和8年4月19日号(No.1809)
問い合わせ:三鷹市 企画経営課 ☎ 0422-29-9031
他にもTAMA ebooksでは、三鷹市・多摩地域の暮らしやイベントなどの情報を発信しています。





