多摩地域で“伝える”ことに向き合う人やその地域の魅力をたどる広報リレー企画。第6弾の自治体は、我らがTAMA ebooks編集部の勤務地でもある東大和市!
とっても近いので歩いて東大和市役所まで取材へ向かいました。
市役所の一角、フリーアドレスの開放的なフロアで迎えてくれたのは、広報プロモーション課の3人。
「いっしょにつくる、みんなの市報」を掲げる東大和市の広報は、どんな思いで発信を続けているのでしょうか。率直な言葉で語っていただきました。
(取材した2026年2月時点の情報です)
東大和市広報プロモーション課の皆さんをご紹介
富田さん(写真左):
平成21年度入庁。子育て支援課などいろいろな課を経て、昨年の10月に広報プロモーション課へ配属。主に、事務的な業務を担当。
上村さん(写真中央):
令和6年7月入庁。前職は民間でテレビ番組の編集業務をしていた。生まれも育ちも東大和市。帰郷し、市の女性再就職応援で採用され、現在市報制作をメインで担当。
佐藤さん(写真右):
新卒で令和3年に入庁し現在5年目。福祉課や1年間の民間企業への出向を経て、令和7年4月に広報課に配属。市報制作を中心に、ホームページやSNS、庶務事務などを横断的に担当。
少人数で支える、市の“顔” 広報プロモーション課の仕事とは
市報制作だけでなく、ホームページやSNS、庶務まで横断的に担う広報プロモーション課。少人数体制ならではの役割分担や日常業務について聞きました。
──広報プロモーション課ではどのような業務を行っているのですか?
富田さん:
私は庶務的な仕事が中心で、契約管理や配布業者さんとの調整など事務的業務を主に担当しています。市報を制作したり、配布する業者さんへ委託する部分ですね。
直接記事に関わることは少ないのですが、文面のチェックなどは行っています。
それと「広報誌にこんな記事を載せたい」「広報でこんなことをやりたい」といった相談がよく来るので、突発的な仕事が起こることも多いです。他の課や外部から相談をいただくこともあります。

上村さん:
基本は市報がメインです。人数が少ないので担当がはっきり分かれているわけではなく、ホームページやSNS関係など、基本の業務はみんなで関わりながらやっています。
佐藤さん:
市報を作りながら、ホームページやSNSも担当して、手が足りなければ庶務事務にも入る形で仕事をしています。
──今年、市報をリニューアルされていますが何かきっかけなどはあったのでしょうか。
上村さん:
私が広報課に入った時には、リニューアルすることはすでに決まっていました。市長が変わったことが結構大きくて、今までの市報は新聞折込と希望世帯のみに配布していたのですが、市長が変わったのをきっかけに「情報をちゃんと全世帯に配りたい」ということで、現在は全世帯に配られるようになっています。
全世帯に市報を配る、ということはやっぱりその中身をより良くしないといけません。
今までは一方的な配信が多く、その形のままだとみんな見てくれないよね、という思いがありました。なのでリニューアルのタイミングで“市民の方にちゃんと取材しよう”とか、“特集を組んで市の魅力を伝えよう”というような変化があったかなと思います。
リニューアル市報、軌道に乗せる挑戦
リニューアル後の市報を「見てもらえるもの」にするため、紙面の特集強化や、新しい情報発信の手法にも取り組んでいました。具体的な施策と手応えを伺います。
──現在、特に力を入れている取り組みなどはありますか?
富田さん:
やっぱり、ちょうど市報を今年の1月にリニューアルしたので、こちらを軌道に乗せるべく力を入れているところではありますね。
まずは最初の特集記事面を充実させるのが大きなところかなと思います。
あと、これは今年度の新しい取り組みのひとつとして行なっているのですが、「桜の回廊」と言って、空堀川の遊歩道のところに桜の木を植樹するというクラウドファンディングで寄付を募りました。大変ありがたいことにたくさんのご寄付をいただき、東大和市に新たな桜スポットが誕生します。

東大和市桜の回廊プロジェクトについてはこちらから
上村さん:
他には、PR TIMESのプレスリリースを試験的に始めていて、桜の回廊についても今まではファックス主体で配信していたのですが、そこの部分をインターネットを通して配信したことで結構大きい反響をいただいたりしました。
他にも6媒体くらいだったと思いますが、今年度配信してみてやっぱり手応えを感じられたので来年度はちょっと枠を広げてみようかと検討しているところです。
他の自治体を見ていると市民活動や公園のイベント情報なども配信しているようなので、枠が増えた分、東大和市でも広げていければなと思っています。
また、市報リニューアルのタイミングで特集と連動した動画コンテンツを始めているので、短い動画を紙面と併せて見てもらって皆さんに興味をもってもらうというような取り組みは少しずつ頑張っているところです。
実際に掲載されているPR TIMESの記事はこちら
佐藤さん:
今、市報のリニューアルが軌道に乗り出しているところではあるのですが、市報にQRコードを載せているので、その飛び先のホームページが市民にとってわかりやすい情報となるようにそちらの方も取り組んていけたらなと考えています。
東大和市のホームページはこちら
「正確さ」と「市民目線」のあいだで
行政広報は、正確さが欠かせない一方で、読み手に届く工夫も必要です。3人が日々の業務で大切にしている視点を聞きました。
──仕事をするうえで大切にしていることや大変なことはありますか?
富田さん:
正確な情報を届けるという当たり前なことだと思うのですが、結局はそれが一番大事かなと思います。例えば市民の方からいただく情報だとかはきちんと精査して、本当にシンプルなところですが、日付を間違えないですとか、細かいところはしっかりやらなければならないところかなと慎重に行っています。
上村さん:
市民目線ですかね。どうしても中にいると行政情報を行政の目線で配信しがちです。なのであんまり染まらないようにしたり(笑)。
市報も月2回から月1回になってページ数が増えたんですけど、その中で欲しい情報というのは人によって違うので、その人が欲しい情報に対してちゃんと的確に伝えられる言い回しとか、タイトルなどをすごく意識しています。

──例えば年代に合わせて発信の仕方を変えているなどの工夫はありますか?
上村さん:
そうですね。市報はどうしても活字になってしまうので、ご年配の方はしっかり読まれる方も多いとは思うのですが、若い方は文字をあまり読まないので、タイトルを見ただけでわかるように作って、それ以降はホームページに遷移させて読んでもらうなどの棲み分けは確かにしています。
ホームページやSNSが今すごく課題になっている部分であって、市のLINEなども視覚的に見れるような形に少しずつしていかなきゃいけないという思いは内部ではあります。
若い人は文章よりも写真などを見て行動に移すことが多いのでSNSは文章では伝えない方が良いのかなと分かってはいるんですがなかなか実現できていないところですね。
佐藤さん:
イベントや新しい制度が始まったことを市民に周知する時に、実際に行動してもらわないといけないと考えた時に、どうやったら市民の方に判断して動いてもらえるか、デザイン的な視点や文章などそういったことを考えるのが大変ですね。
日常的にテレビとか屋外広告とかを見ながら、自分がどうやったら心が惹かれるのかや共通点などを探して、学んでいけたらなと思っています。
広報課の心に残る、市民からの反響
広報の手応えは、ときに市民からの声として返ってきます。印象に残っている号や反響について、具体的なエピソードを教えていただきました。
──印象に残っている発信はありますか?
富田さん:
リニューアル前の市報の記事で(令和7年12月15日号)、昔の市内の写真を表紙にしたのですが、そのリアクションがすごかったです。特に以前から市に長く住まわれている方から。
昔があって今があるといった内容の記事だったので「懐かしかった」「こんなところあったな」といった感じで家族での会話のひとつになってくれたのかなと。
当然、当時の写真は白黒だったのでAIでカラーにしたのもあり、まずそこで驚きの印象があったようです。
自分としてもこの記事は印象に残っていて、皆さんに見ていただいているというのを実感しましたし、今後もこのようなみんなで盛り上がれるようなインパクトのある記事を作っていく必要があるんだろうなということを感じさせられた号でもありました。

──当時の写真はどこにあったのですか?
富田さん:
市の倉庫に……「今日は1日探す日にしよう」という日を設けて、倉庫の中をひっくりかえして探しました。探していくなかでこんなの面白いね、など楽しみながらやっていました。
ネガでとってあるものが結構多くて、そこから今の技術だとこんなふうにカラーにできるんだなというのが私も驚きでした。
上村さん:
(写真を見ながら)光商店街とか今は閑散としてしまっているんですけど、この当時はこんなに人がいたんだね、と親と話したりしましたね。

上村さん:
私が印象に残っているのは、夏野菜の特集を載せた時なんですけど、なんと市民の方からお手紙をいただいたんです。
この号は、広報課内で「やっぱり表紙に人を出したいよね」となった時にちょうど夏野菜の収穫体験というイベントがあったので取材させてもらって、広報課のみんなでたくさん写真を撮ってそれを表紙に採用した号でした。
それを見た市民の方から「子どもとの思い出とか、旦那さんとの昔の思い出とかいろいろ思い出してすごく良かったです」というようなお手紙をいただきました。
なかなかお手紙をいただくことはないのですごくうれしかったですね。
さらに、最近東京都の広報コンクールのお知らせがきて、この号が組み写真部門で奨励賞をいただきました。広報の仕事をやってきて、とてもやりがいを感じた号でもありました。

佐藤さん:
私も2人と同じになってしまうのですが、12月15日号と8月1日号で、市民の方の会話のきっかけになるような市報を作っていきたいということで、みんなの思いもひとつになったし、これからの市報の方向性が決まった良いきっかけになったなと思っています。
広報プロモーション課の思いをひとつにした市報はこちらから
「何もない」が、ちょうどいい!? 東大和市の魅力
取材を通して見えてきたのは、派手さではなく“暮らし”の中にある魅力でした。3人それぞれの言葉で、東大和市の「好きなところ」を語っていただきます。

──広報の皆さんが感じる東大和市の魅力は何だと思いますか?
富田さん:
東大和というと「多摩湖」というイメージがありますよね。多摩湖の他に名所だとか名物というのが正直あまり見当たらないのかなと思いますが、個人的にはそんな「何もない」というところが逆に魅力なのかなと感じています。
私自身、東大和市民なのですが、暮らしていても静かで過ごしやすいと感じます。子どもと一緒に楽しめるような公園などの環境も整っていますし、子育てしやすい環境が散りばめられていると思います。
上村さん:
確かに大きい商業施設などはないのですが、私も社会人になった時、一回都心の方に出て働いていたりしたのですが、帰ってくるとやっぱり落ち着きます。
市内には小さなお店がたくさんあって、皆さん結構つながっていらっしゃるんですよね。
私も市民なのですが、朝に子どもと一緒に直売所に行ったり、庭のブルーベリーをお裾分けしてもらったり。
そんな地域のつながりが魅力だなと感じています。
あとは多摩湖が市民にとって当たり前にあるのも良い。普通に散歩の感覚で行って帰ってこられるっていうのが良いですね。

佐藤さん:
総合的に見るとやっぱり住みやすいところですね。
市民の方からも声があったのですが、本当に人が良くて、引っ越してきた人も快く受け入れてくれてすぐに馴染めたという声も聞きました。
比較的都心にも出やすいのに自然があったりして、都会と田舎のいいとこどりをしたようなところだなと思っています。
生活に必要なお店もコンパクトにまとまっていて、すぐ自転車でいけたり。
そんな東大和市のコンパクトさならではで、市民と行政の距離も縮められたらいいなと感じているところです。
東大和市の魅力が掲載されている令和8年1月1日号はこちらから
余談:上村さんの“青春スポット”
アイワールド※ですね。(ニトリの跡地)みんな土日は1回アイワールドに行く。青春を過ごした場所です。
※1980年ごろ東大和市にオープンしたディスカウントストア。
まだ知られていないかもしれない“推しスポット”
定番だけではない、東大和市の楽しみ方。家族で楽しめる場所から意外な“聖地”まで、3人のおすすめが集まりました。
──おすすめの“推しスポット”はありますか?
富田さん:
子どもが小学生なのですが、夏場に東大和南公園に行くと結構カブトムシやクワガタがいるんですよ。都立公園なので、採って持って帰ったらいけないのですが、「見つけた!」という風に宝探しをするような感覚で楽しめます。虫好きなお子さんがいたらおすすめです。

上村さん:
最近知ったのですが、ダンスのジュニア大会とかが東大和市で開催されているらしく、実は子どもたちのダンスの聖地みたいです。
佐藤さん:
郷土博物館の屋上は街が一望できて、夜景も綺麗なのにまだ人が上がっているのをそんなに見たことがないので知る人ぞ知るという感じなのかなと思います。
また裏には小径とか坂があってとても良い景色が広がっていて良いなと思っています。

若い世代にも選ばれるまちへ
まちの魅力を“伝える”ことは、暮らしや誇りを育てることにもつながります。ここからは、東大和市のこれからに向けた思いを伺いました。

──これから、東大和市や広報として目指したいことは?
富田さん:
あくまで私の印象なんですけど、新しく東大和に住まわれる方は駅周辺が多く、そこと比べると多摩湖の方はあまり人が入ってこられないのかなと。なのでそのあたりをうまい具合に多摩湖の方も住みやすくて良いところだよというのを伝えて、入りやすくできれば良いなと。
上村さん:
理想は自分も含めて市民の方々が東大和市に居ることが良いよね、幸せだよねと思えるまちであるのが良いのかなと。
結局のところ、人とのつながりがあることが人の幸福度につながるんじゃないかなと思います。
長く住んでいても知らないことがまだまだいっぱいあるんですね。
東大和の良いところを知って、いいなと思ってくれる人がどんどん増えて広がっていくのが一番良いのかなと思います。
広報としてやれることは、そこで頑張っている人たちを紹介して同じように市民の皆さんにも知ってもらいたいし、イベントがあれば参加してもらいたい。ここにいて良かったなと思える人たちを増やしていきたいですね。
佐藤さん:
今は市内の人に満足度の高い市報を目指して作ってはいるんですけれども、市外の人にも「東大和市の市報って面白いよね」と言ってもらって、市報を入り口に東大和市を知ってもらえたら嬉しいなと思っています。
東大和市はまだまだ知名度が足りないので、今住んでいる方々のシビックプライドの醸成につながって、そこから「東大和市は住みやすいよ」っていうのがクチコミで広がって、定着もしつつどんどん人が入ってきてくれたら理想としては一番嬉しいかなと思います。
いっしょにつくる、みんなの市報
リニューアルで掲げた合言葉は「いっしょにつくる、みんなの市報」。最後に、その言葉に込めた思いと、市民の皆さんへの呼びかけを伺いました。

上村さん:
リニューアルした1月の市報に「いっしょにつくる、みんなの市報」と掲げたのですが、まさにこれかなと思っていて、市の魅力を一番知っているのは本当に市民の方々なので。
それを我々にも教えて欲しいし、一緒に探したりもしたいし。そういうものを広報として発信したいという気持ちがあるので、「こんな素敵なところがあるよ」というのがあったらぜひ広報プロモーション課へ声をかけて欲しいです。
佐藤さん:
市報にかかわらず、良い声も悪い声もいただいて、一緒に東大和市を盛り上げていきたいなと思っているので、何か情報があれば広報プロモーション課が伺います。
富田さん:
市民の方に必要な情報は手に入れていただきたいし、より楽しんでもらえるコンテンツにできるように頑張って作っていきたいと思うのでぜひご覧ください。
編集後記──届く広報を、みんなで。

今回お話を伺って印象的だったのは、広報プロモーション課の仕事が「市報を作る」だけにとどまらず、ホームページやSNS、庶務まで含めて、市の情報発信全体を少人数で支えているという点でした。
全世帯配布をきっかけに始まった市報リニューアルは、紙面の特集強化に加えて、PR TIMESでの発信や動画との連動など、“届け方”そのものを更新していく挑戦でもあります。
その土台にあるのが、富田さんの語る「正確さ」と、上村さんの語る「市民目線」。そして佐藤さんが向き合う「行動につながる伝え方」です。
日付ひとつ、言い回しひとつを丁寧に積み重ねながら、読む人の暮らしにちゃんと届く形を探し続けている姿が、会話の端々から伝わってきました。
「いっしょにつくる、みんなの市報」という言葉は、スローガンというよりも、市民の声を受け取り、まちの魅力を一緒に見つけていくための合図のように感じました。
広報課リレー企画はまだまだ続きます! これからも多摩地域の各地で“伝える”ことに向き合う人やその地域の魅力をたどっていきます。次はどんなまち、どんな魅力に出会えるのでしょうか。どうぞご期待ください。 東大和市広報プロモーション課の皆さん、この度はご協力ありがとうございました!






