多摩地域で“伝える”ことに向き合う人やその地域の魅力をたどる広報リレー企画。
第5弾は、西東京市にお伺いしました!
今回は、民間デザインの経験を持つ職員をはじめ、多様なバックグラウンドが集まる広報のチームに取材。日々の業務や工夫、そして「伝える」仕事に込めた想いを聞かせていただきました。
インタビューの舞台は「多摩六都科学館」

今回インタビューの会場となったのは、西東京市にある多摩六都科学館。プラネタリウムをはじめ、科学の楽しさを体感できる施設として、子どもから大人まで親しまれている場所です。
取材をご依頼した際に、この場所での取材という素敵なご提案をいただき胸が高鳴りました。
西東京市の“知”と“学び”を象徴するこの空間で、日々市の情報を発信している広報プロモーション課の皆さんにお話を伺いました。
西東京市広報プロモーション課の皆さんのご紹介
まずは、今回お話を伺った皆さんをご紹介します。

川上さん(写真右):令和6年入庁。前職では民間の印刷会社でデザイン業務に携わる。過去にはプラネタリウム解説員や教育普及活動にも関わり、市民に近い立場で「伝える」仕事を経験。
菰田(こもた)さん(写真左):令和4年入庁。民間企業からの転職を経て、広報プロモーション課へ。主に市報を担当していて、SNSやホームページを担当したのち、再び市報の担当へ。
若林さん(写真中央):新卒で平成30年入庁。市民課を経て秘書広報課に配属され、現在の広報プロモーション課に。主にホームページとSNSを担当している。
それぞれの役割が、ひとつの広報になる
広報プロモーション課の仕事は、市報、SNS、ホームページ、そして企画や調整まで幅広く広がっています。
でも実際の現場では、「誰が」「どんな視点で」その一つひとつを支えているのでしょう。ここからは、3人の言葉を追いながら、西東京市の“伝える仕事”の輪郭をたどります。
市民に届く言葉を整える── 川上さん

「ただのお知らせ」で終わらせないために
川上さんは印刷会社でのデザイン経験や、プラネタリウム解説員として「伝える現場」に立ってきた方です。
市報制作では、記事の見せ方や言葉を整えながら、“伝わる形”へと磨き上げています。
──現在は、どんな業務を担当されているのでしょうか。
川上さん:市報全体に関わっていて、記事をより伝わりやすくするための調整をしています。「ここ、もう少しこうしたらどうでしょう」と提案したり、表記や内容に誤りがないかを確認したりですね。
市報は月に2回、1日号と15日号があるので、常に複数の号が並行して動いています。特集面は、デザインと印刷を委託している業者さんと毎回編集会議を行って、通常面とは少し違うスケジュールで進めています。
──以前はデザインのお仕事もされていたとのことで、ご自身で作りたくなることは?
川上さん:いえ、委託先の方がいつも素敵に仕上げてくださるので、安心してお任せしています。
──仕事をするうえで、大切にしていることは何ですか。
川上さん:市報のお知らせ記事や啓発記事は、どうしても事務的な文章、行政目線の表現になりがちです。書いている側は分かっていても、市民の方にとっては分かりにくいことも多い。なので「ただのお知らせ」で終わらせず、ちゃんと伝わる形にしたいと思っています。
担当課とひとつひとつ調整して、「ここは見せ方を変えた方がいいかも」「説明が足りないので、写真や表を入れませんか」といった提案もしています。
──印象に残っている発信はありますか。
川上さん:市報の特集面で取り上げた「パラアート」の記事ですね。障がいのある方の作品を紹介したり、展覧会を行ったりする事業で、その展覧会の優秀賞を受賞された市内在住の方とご家族に作品に対する想いなどを取材しました。
お父様が息子さんへの想いを語ってくださって、その時間がとても心に残っています。記事にした後も、すごく私たちのことを気にかけてくださっていて。最近までメールのやり取りが続いています。
パラアートの取材記事が掲載されている「広報にしとうきょう令和7年6月15日号」
紙面で“手に取ってもらう”ことを考える── 菰田さん

市報づくりと、行動につながる広報
市報担当の菰田さんは、特集企画から取材、紙面づくりまでを担い、「まず読んでもらう」ことを意識した広報に向き合っています。
──市報制作では、どんな役割を担っているのでしょうか。
菰田さん:特集面の場合は、まず「何を特集にするか」を考えるところから始まります。そこから取材をして、原稿を整えて、校正して、発行まで進めていきます。
それと、PR親善大使の調整も担当しています。各課から「事業に出演してほしい」という依頼が広報プロモーション課に来るので、親善大使の皆さんと日程などを調整しています。
西東京市には、完熟フレッシュさん、シチズン時計卓球部さん、JUN SKY WALKER(S)さんなど、市にゆかりのあるPR親善大使が7組います。
──紙面づくりで意識していることは?
菰田さん:読みやすさも大事ですが、まずは「手に取ってもらうこと」ですね。なるべく大きな写真を使って、ぱっと目に入る紙面にするなど、「見てもらえる」工夫を心がけています。
その取り組みが評価されて、令和5年・6年と2年連続で東京都の広報コンクールで入賞しました。反響はなかなか実感しづらいので、客観的に評価いただけたのは嬉しかったです。
令和6年度広報コンクールにて1枚写真の部で奨励賞を受賞した「広報にしとうきょう令和6年12月15日号」
──反響が見えにくいなかでも、市民の反応を実感した場面などはありましたか。
菰田さん:昨年から始めた「子ども記者」の取り組みですね。中学生が取材して記事を書くという企画で、その中に音訳ボランティアを紹介する記事がありました。
それを読んだ方から「私も音訳者として何かできませんか?」という問い合わせが広報プロモーション課に届いたんです。市報を見て、興味を持って行動してくださったことが分かって、とても嬉しかったですね。
「子ども記者」による音訳者の取材記事が掲載されている「広報にしとうきょう令和7年2月15日号」
デジタルで“接点”をつくる── 若林さん

SNSとホームページ、その先にあるもの
ホームページとSNSを担当する若林さんは、スマートフォン越しの「読み手」を意識しながら、日々発信を続けています。
──普段はどんな業務をされていますか。
若林さん:ホームページは、各課が作成したページを確認して、日々承認・公開の作業を行なっています。SNSは、LINE、X、Facebook、YouTubeを運用していて、投稿内容や見せ方を考えながら運用をしています。
──SNSを運用するうえで意識していることはありますか?
若林さん:スマホで見られる方がほとんどなので、小さな画面でいかに伝わりやすくできるかどうかを意識しています。文字数の制限もありますし、見やすさは大事ですね。
また、発信する側には分かっている内容でも、読み手には分かりにくいなという原稿が上がってくることがあります。
例えばイベント記事の場合、そのままだと「このイベントに行ってみよう」とは思いにくいので、広報側でリライトしながら、どうやったら読み手の意欲を掻き立てられるかというのは一生懸命考えて行なっています。
市報をあまり見ない世代の方にも、SNSなら届くことがあるのかなと思っています。行政情報だけでなく、市の魅力も発信して、認知を広げていけたらいいなと思っています。
──SNSを運用するうえでの目標はありますか?
若林さん:今はXのフォロワーが8500人くらいなので、今年度中に9000人を目指しています。
市報とは違って、SNSはあきらかに反応がわかります。西東京市のマスコットキャラクター「いこいーな」を使った投稿は結構皆さんに見ていただいたり、リアクションいただけているかなと思うので「いこいーな」も活用しながら、少しずつフォロワーを増やしていけたらと思っています。

西東京市のマスコットキャラクター「いこいーな」
「いこいーな」は、西東京市誕生10周年を記念して誕生したマスコットキャラクターです。市内のアニメ制作会社・シンエイ動画株式会社との連携により制作され、市民投票を経て選ばれました。
「西東京いこいの森公園」をモチーフに、帽子には園内にある「ハンカチの木」の花をデザイン。名前は市民公募によるもので、「いこいの森って楽しくていいな」という想いが込められています。
チャレンジする「広報プロモーション課」
続いては、部署の“変化”についてお伺いしました。 
川上さん:昨年7月の組織改正で、「秘書広報課」から「広報プロモーション課」になりました。“プロモーション”という言葉が入ったことで、西東京市の魅力を高めて、それを発信していこうという意識がより強くなったと感じています。
菰田さん:その流れの中で、動画制作にも取り組みました。業務委託の業者さんと一緒に、「どんな動画にするか」を話し合いながら、ひとつの家族のそれぞれの目線で西東京市の良さを伝えようということで、4本の動画を制作しました。
西東京市のプロモーション動画「西東京市かぞく〜子ども編〜」
若林さん:SNSもシティプロモーションに積極的に活用していきたいので試行錯誤しているところです。今までは行政情報がメインでしたが、西東京市の季節の移り変わりを見せたり、キャラクターの「いこいーな」を活用して、より身近な感じで発信できたらなと思っています。


暮らしの中にある、西東京市の魅力

日々の取材を通して見えてきた“住むまち”の表情を教えていただきました。
──実際に働くなかで感じる、西東京市の魅力はどんなところですか。
川上さん:私は地元が西東京ではないので、入庁してから少しずつこのまちを知っていったのですが、市報の仕事を通して、いろいろな事業者さんに関わる機会があります。
そうすると、住宅街の中に小さな飲食店やお菓子屋さんが点在していることに気づくんですよね。
歩いていると、ふと「こんなお店があったんだ」と発見があって、それがすごく楽しいまちだなと思います。
以前も、市報で桜の名所とその周辺のお店を紹介する特集をしたことがあったのですが、実際に行ってみると、本当に住宅街の中に“ぽつん”と素敵なお店があって。暮らしのすぐそばに、そうした魅力があるところが、西東京市らしさなのかなと感じました。
菰田さん:西東京市は徐々に人口が増えているというのもあり、取材をしていると、商店街に若手の創業者が増えていることに活力を感じますね。
また、地域のネットワークを生かしてお祭りを開催するなど、地域のコミュニティ同士でまちを盛り上げていこうとする活力が魅力的だと、最近の取材を通して感じています。

若林さん:田無駅周辺は飲食店も多いので、お昼にも困らないですし、都心へのアクセスも良い。 それでいて自然が残っているところも魅力だと思います。そのバランスがとても良いなと感じています。
生活する場所として、“ちょうどいいまち”なんじゃないかなと思います。

西東京市の“コアな魅力”
さらに深ぼって「知る人ぞ知る」ような魅力についてお伺いしました。
──西東京市の“ちょっとコアな魅力”を挙げるとしたら?
川上さん:多摩六都科学館のプラネタリウムドームは本当に大きくて、生解説なのも魅力だと思います。
解説員の方それぞれが、独自の語り口で話してくださるので、同じ星空でも毎回違う楽しみ方ができるんですよね。
あと場内が傾斜のある構造になっていて、少し浮いているような感覚になるのも特徴です。星を見るだけでなく、映像や音楽を楽しむ演出もあって、臨場感のある体験ができる場所だと思います。

もっと知られるまちになるために。「西東京市といえば」をつくる、これからの発信
最後に伺ったのは、これからの西東京市をどう伝えていきたいかということ。広報プロモーション課としての視点と、個人としての想いが重なって語られました。
──今後、どんなまちとして伝えていきたいと考えていますか。
川上さん:正直に言うと、西東京市はまだまだ知られていない部分が多いと思っています。
「西東京市といえばこれだよね」「西東京市っていいよね」と言ってもらえるような市の魅力を見つけて、シティプロモーションとして市民の方はもちろん市外に住んでいる方も含めて発信していけたらと思っています。
──ちなみに、今現在「西東京市といえば」というものは何かありますか。
川上さん:ランドマーク的な存在でいうと、「田無タワー」がありますし、この多摩六都科学館もそのひとつだと思います。
平成27年に国史跡に指定された縄文時代中期の「下野谷遺跡」も西東京市の歴史を感じることができるおすすめの場所です。

菰田さん:田無タワーのライトアップは、次の日の天気によって色が変わるんですよ。晴れの日は紫、雨の日は青、曇りの日は緑になるんです。
「〇〇月間」などに合わせて色を変えることもありますが、基本的には天気で変わる仕組みになっています。

菰田さん:私も市外出身で、転職をきっかけに引っ越してきました。
引っ越す前に西東京市を調べたとき、都心へのアクセスが良いことや、緑が多くて住みやすそうだと感じました。
実際に住んでみると、その通りでとても過ごしやすい。
ただ、「田無」と聞くと分かってもらえても、「西東京市」と言うと、もっと西の方にある市だと思われることもあって。
合併して25年の比較的若い市ということもあるのかもしれませんが、「こんなに良いところがあるよ」ということを、市外の方にももっと伝えていきたいですね。
住んでもらうこともそうですし、今住んでいる方に「住み続けたい」と思ってもらえるように、市の魅力を伝えていきたいと思っています。
若林さん:私もふたりと同じ気持ちです。
広報プロモーション課になったからこそ、西東京市に愛着を持ってもらえるような発信をしていきたいですね。市民の方だけでなく、市外の方にも魅力が届くように、SNSやホームページを活用して、できるところから強化していけたらと思っています。
西東京市広報プロモーション課からのメッセージ
ここまで、3人それぞれの視点から、西東京市の広報の現場を見てきました。最後に、広報プロモーション課として、これからどんな思いで発信を続けていくのか──。日々、市民と向き合いながら「伝える仕事」に取り組むチームのメッセージをお届けします。

川上さん:これからも西東京市の魅力を広報を通じて発信し、住んでいる方が「私のまちっていいな」と思ったり、市外の方からも「西東京市って気になる」と思ってもらえるようにしたいです。
菰田さん:いつも市報やSNSをご覧いただきありがとうございます。これからも住みたい、住み続けたいと思ってもらえるような情報発信をしていきたいと思います。
若林さん:多くの方に西東京市の魅力が伝わるよう、これからも試行錯誤を重ねていきたいです。
編集後記──伝える工夫が、まちへの愛着を育てていく

市報の一文、SNSの投稿、ホームページの1ページ。その一つひとつの裏側には、「どうすれば市民に伝わるか」「どうすれば興味を持ってもらえるか」を考え続ける人の姿があります。
西東京市広報プロモーション課の3人の言葉から見えてきたのは、広報を単なる情報発信で終わらせず、まちの魅力を見つけ、磨き、未来へつなげていこうとする姿勢でした。
紙面で深く伝えること、デジタルで広く届けること、そして言葉を整えること。その積み重ねが、市民の行動や愛着へと少しずつ広がっています。
「西東京市といえば」と自然に思い浮かぶ風景をつくるために。今日も広報プロモーション課の現場では、まちと人をつなぐ“伝える仕事”が続いています。
そして、広報課リレー企画もまだまだ続きます!
これからも多摩地域の各地で“伝える”ことに向き合う人やその地域の魅力をたどっていきます。次はどんなまち、どんな魅力に出会えるでしょうか。どうぞご期待ください。
西東京市広報プロモーション課の皆さん、この度はご協力ありがとうございました!





